『神々と男たち』『MAD探偵~7人の容疑者』試写



試写室日記

試写を2本観た。

『神々と男たち』 グザヴィエ・ボーヴォワ

フランス語の原題が『Des hommes et des dieux』、英語の題名が『Of Gods and Men』、そして邦題が『神々と男たち』。心を揺さぶられる映画であることは間違いないが、どう揺さぶられるかによって、この違いがかなり気になってくる。

『MAD探偵~7人の容疑者』 ジョニー・トー×ワイ・カーファイ

警官と彼の命ともいえる銃。警官たちの間で銃とその持ち主が次々とずれていき、幽霊が跳梁し、銃をとおしてみたときにはもはや誰が誰を撃っているのかわからなくなる。そのカオスと覚醒の落差がなんとも心地よい。

今週末公開オススメ映画リスト2011/01/13

週刊オススメ映画リスト

今週は『ヤコブへの手紙』『ジャライノール』『愛する人』『ソーシャル・ネットワーク』の4本です。

クラウス・ハロ 『ヤコブへの手紙』

公開より後になってしまいますが、1月20日発売の「CDジャーナル」2月号にレビューを書いています。

その昔、ジム・ジャームッシュは自分のスタイルを “less is more” という言葉で表現していた。説明や情報を削ぎ落としていけば、空間が広がり、自由な解釈や想像の余地が生まれる。逆にテレビの2時間ドラマのように、何でもかんでも説明してしまえば、 “more is less” になる。このフィンランド映画は、そんな “less is more” が効力を発揮する作品であり、描かれない部分の解釈によってドラマが奥深いものになっていく。

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『ブローン・アパート』『サラエボ、希望の街角』『ランナウェイズ』試写

試写室日記

試写を3本観た。

『ブローン・アパート』 シャロン・マグアイア

チラシでは「欲望と心を引き裂く、愛と裏切りのサスペンス」という触れ込みになっているが、実際に観たらまったく違う印象を受けるはず。海外では賛否がはっきり分かれているようだが、否定派はテロ絡みのサスペンスか、ミシェル・ウィリアムズユアン・マクレガーのメロドラマを期待して落胆したのではないか。

筆者はすんなり入り込めた、というより引き込まれた。この映画の中心にあるのは、幼いわが子を亡くしたヒロインの喪の作業で、それにテロ事件の裏に潜む真実が影響を及ぼす(ビンラディンへの手紙=モノローグはない方がいいと思うが…)。テロのことを考えなければ、 『オール・アバウト・マイ・マザー』『心の羽根』『まぼろし』などに近い。ミシェル・ウィリアムズ、好きな女優だが、この映画でも存在感が際立っている。詳しいレビューは近いうちに。

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趙曄(チャオ・イエ)『ジャライノール』レビュー



Review

ふたりは「日常」と「記憶」のはざまにある風景を旅する

中国映画界の新鋭チャオ・イエ監督の長編第2作『ジャライノール』は、実に素晴らしい映画だった。

舞台は、ロシアと国境を接する内モンゴル自治区にあるジャライノール炭鉱。そこは蒸気機関車の最後の聖地といわれる場所であり、その広大な風景のなかに、年老いた機関士ジュー・ヨウシアンと、年の離れた後輩リー・ジーチョンの絆が描き出される。

チャオ・イエ監督が見つめるのは明らかに消えゆくものだが、この映画にはノスタルジーとは一線を画す強度がある。

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『ジャライノール』2011年1月15日(土)よりポレポレ東中野にてロードショー!!

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『アンチクライスト』『トスカーナの贋作』試写

試写室日記

試写を2本観た。

『アンチクライスト』 ラース・フォン・トリアー

試写室で河原晶子さんにお会いする。河原さんは2度目だそうだ。

すごい映画だった。「死」→「喪」→「森」→「動物と人間」→「pain」→「nature」→「genocide」と、筆者が強い関心を持っている要素が、すさまじい映像の力で次々と押し寄せてきて、心の準備もできないままに心拍数が上がり、最後は異様な興奮状態に陥っていた。こういう体験ができる映画はめったにない。本当に病んでないとこういう映画は撮れないだろう。

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